事業再構築補助金の活用でこんなチャレンジングな挑戦も【前編】

コロナ禍に開始した事業再構築補助金。新たなビジネスへの挑戦や、転換を図るための補助金として独創的な事業を開始した企業が日本全国に存在します。

事業再構築補助金の採択企業のなかでも選りすぐりの事業者を集めた展示会が「イノベーションフェア2024」。東京の有楽町にて実施した本フェア。成長戦略株式会社にて補助金活用コンサルティングを実施する住田博正さんにご同行いただき、補助金活用のポイントについて伺いました。

既存事業を現代向けにチューニング

最初にご紹介するのは「北海道地図」。

既存事業は日本全国の測量データや地図販売、データ活用。本データを活用とした事業は、単にカーナビゲーションや印刷物としてだけでなく、自然災害対策や道路開発など用途は多岐に渡ります。

この北海道地図が事業再構築補助金にて挑戦・実現したのが、UAV(Unmanned Aircraft Vehicle、ドローンと同義)を使用した測量でした。

通常測量であれば航空写真や衛星、あるいは測量機材一式を山に持ち込んで実測する方法が多いです。日本国土の多くは山岳や坂が多く未開の山々も多く存在します。入山しての測量となると最低でも3人での測量が一般的となり、手間や時間もかかります。

そういった場所に、空中から測量できる「UAVによるデータ取得」は、ドローン操作者が1人で撮影できますから省人化につながり、高精度測量も可能となりました。人が入りにくい谷底や稜線沿いも測量することが可能。しかも、単なる測量データだけでなく画像や4Kでの映像撮影も可能なため3Dモデルなども同時に作成可能となっています。

担当者に伺うと「補助金活用が新たなチャレンジの形成につながった」「データという利点で、今まで地図として作りづらかったもののビジネス化にも挑戦している。たとえば室内撮影や、廃校や取り壊しとなる建築物などをドローンで撮影可能。」とのことでした。

地図データは、ビジネスや防災観点からしても欠かせない情報です。平面から3D、個別の建物にまでデータ作成ビジネスのニーズは高く、他社が持たない地図データを作れることで、差別化できそうです。

「補助金のプロはこう読み解く」

――成長戦略による解説「昨今、災害が激甚化(げきじんか)・大規模化する中で、地形の3Dデータは防災の観点でも非常に大きな役割を持ちます。地形が立体的にわかることで、物理演算を用いた土石流や水害予測などを実現していた点も特筆すべきポイントでした。

レジリエンス(国土強靭化)という政府の政策にも沿いつつ、既存事業のデータやノウハウを活用・発展させて、公共的にも価値あるデータを作成できるという点は、非常にユニークかつ実現可能性が高い、と評価された可能性があります。」

補助金利用のきっかけは「友人の車いす生活」

中村会長に話を伺うと「事業再構築補助金ありきの事業ではありませんでした。友人が車いす生活になったこと。それを解決したいという気持ちから活用できる補助金が見つかり一つの事業につながりました。

わが社は部品商社ということもあり、世界全国での部品や製品についての情報を持っています。その調査能力を活用して車いすを調査したのですが、まだまだ発展の余地があり後発でも追いつけると確信し製品化を進めています。」

車いす「movBot®」は、どちらかといえば介助者の補助具ではなく、利用者の主体的な移動を目的としたものです。障がい者や足の不自由な人でも介助者なしで自立し行動が可能となることを目指した車椅子となっています。

足回りには、全方向車輪を使用しており、前後、左右、超信地旋回の走行ができます。モデルによっては階段すらも登れる製品となっています。※販売は来年を目指しているとのこと。

補助金活用だけでなくアクセスエンジニアリング株式会社のスゴイのは製品開発後の実証実験などの巻き込みやメディア露出の多さです。チャレンジングな事業は製品化後すぐに花開くことは少ないです。ですが、会社のブランディングや開発能力、コングロマリット化につながる事業戦略と言えるでしょう。

公式サイト

「補助金のプロはこう読み解く」

――成長戦略による解説「社会問題の一つである高齢化も見据えた成長分野への投資と感じられました。

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