2025年 中小企業向け補助金&税制動向を徹底解説!
2025年の予算編成に向け、8月下旬に各省庁からの概算要求が発表されました。なかでも、中小企業がチェックしておくべきは「経済産業省・中小企業庁」の概算要求です。この概算要求を軸にして2025年の補助金や税制優遇などが決まりますので、来年の動きを考えるにあたって欠かせません。
概算要求とは
翌年度の国家予算を編成するにあたって、各省庁が財務省に提出する予算方針です。企業の経済活動に関連するものについては主に経済産業省(中小企業庁)が予算組みをしています。
例年、8月頃に概算要求が発表されており、すべてがこの通りに採択されるわけではありませんが、この内容を見れば来年度の大きな流れを掴むことができます。
2025年(令和7年)度 中小企業対策関連予算の方向性
では今回は、8月30日に公開された概算要求のなかから、特に中小企業・小規模事業者に関連する内容について解説していきます。
来年度の中小企業対策として要求された予算額は1,300億円。ちなみに、2024年(令和6年)度の予算実績は1,082億円でした。予算組みの大きな方向性は、次の5つです。
1.物価高、人手不足等の厳しい経営環境への対応
2.環境変化に挑戦する中小企業・小規模事業者等の成長支援
3.小規模事業者支援、社会課題解決をはじめとした地域における取り組みへの支援等
4.事業承継、再編等を通じた変革の推進
5.経営支援、伴走支援の推進
現在、中小企業の多くが直面している「物価高によるコスト増加」「人手不足」「賃上げ」といった厳しい状況への対応するために、多くの予算を割く内容となりました。
では、中小企業が特にチェックしておくべき項目を紹介します。
まずは補助金制度です。
中堅・中小大規模成長投資補助金(継続)
地域の雇用を支える中堅〜中小企業が、最先端の機械の導入や、工場・倉庫の新設、情報システムの導入などを行う際に利用できる補助金です。補助率1/3、最大50億円の補助金が受け取れます。
2025年度の概算要求では20億が組まれていました。こちらでは補助金額に対し少額のため、昨年同様補正予算で措置されることになると考えれらます。
常時雇用する従業員が2000人以下であること、投資額が10億円以上であること、賃上げ要件を満たすこと等が大まかな利用要件となっています。なお、2024年の公募申請は2次公募が8月初旬に締め切り、来年度も同様のスケジュールで進むことが想定されます。
中小企業省力化投資補助制度(継続)
売上拡大や生産性向上を実現するため、IoTやロボットなどを導入する場合に利用できる補助金です。従業員数に応じて異なりますが、補助率1/2以下、補助金額は最大1,500万円です。
清掃ロボットや配膳ロボット、自動券売機、自動倉庫などが対象で、導入製品は「製品カタログ」の中から、自社の業種で指定可能なものを選びます。(例:自動精算機は、飲食サービス業&小売業のみが選択可能)
中小企業生産性革命推進事業(継続)
「ものづくり補助金」「IT導入補助金」「小規模事業者持続化補助金」「事業承継引き継ぎ補助金」といった補助金制度の総称です。中小・小規模事業者の生産性向上を目指すもので、2025年も引き続き行われることが想定されます。
事業再構築補助金(継続)
ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために、新分野への展開、事業転換、業種業態転換、または事業再編などの思い切った事業再構築に意欲を持つ中小企業を支援する補助金です。企業規模や、どういった事業を行うかによって異なりますが、補助率最大2/3、補助金額は1,500万円~5億円です。
こちらについては、新たな予算は設けられていませんが、残存基金を考慮するとあと数回は継続されるのではないかと思われます。
成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech事業)(継続)
大学や公的研究機関と協力して、研究開発・試作品開発・販路の拡大などを行う場合に補助金が受け取れます。2024年は補助額年間最大4,500万円、3年間で9,750万円です。中小企業単体での申請はできないので利用対象者は限られますが、こちらも2025年も継続予定です。
次に、中小企業が確認しておくべき、税制度の見直しや税優遇制度の大まかな方向性を確認しておきましょう。
中小企業経営強化税制(延長・拡充)
2024年度(2025年3月31日)までの時限措置となっていた本税制は、2026年度末まで2年間の延長が要望されています。「中小企業経営強化税制」とは、設備投資について「即時償却」および「7%~10%税額控除」のいずれかが適用されるというものです。
申請には、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営向上計画が必要ですが、従業員が使う食堂や休憩室なども設備投資に含まれるので、汎用性が高いのが特徴。また、上乗せ措置も検討する予定なので、今後の動向にも注目です。
中小企業投資促進税制(延長)
先ほどの制度と似ていますが、こちらは機械装置などを対象にした税優遇制度です。対象となるのは、機械装置、測定や検査に使う工具、ソフトウェア、貨物自動車、船舶などで「取得価額の30%を特別償却」もしくは「7%の税額控除」のいずれかが選択できます。こちらも、2026年度末までの2年間の延長が要望されています。
法人税率の特例(延長)
現在、資本金1億円以下の中小企業は、年間所得800万円以下の部分が、法人税率19%→15%に軽減されています。2024年度末までだったこの措置について、2年間の延長を要望しています。
中小企業防災・減災促進税制(延長)
自然災害への備えとして設備投資を行う場合に、税率が優遇される制度です。自家発電装置や、耐震・制震・免振装置の設置、建物に付随する防災設備、自然災害が発生した際の事業への影響を軽減させるものを購入した場合に、16%~18%の特別償却ができます。
「(連携)事業継続力強化計画」の認定を受け、さらに1年以内に導入する必要がありますが、こちらも中小企業における防災強化がより一層重要になってきたことから、2年の延長を要望しています。
固定資産税の特例(延長)
市町村から認定を受けている資本金1億円以下の中小企業などに対して、設備投資にともなう負担を軽減するために、固定資産税を最長5年間、1/3に軽減します。こちらは赤字企業でも利用できます。こちらも2026年末までの2年延長が要望されています。
2025年2月から公募が始まる補助金も
ここ数年、「事業再構築補助金」や「中堅・中小大規模成長投資補助金」など、多くの補助金に注目が集まっています。これらの主要な補助金制度は、予算はやや引き下がりながらも、来年度も継続する可能性が高くなっています。
2025年の予算が正式に決まるのは2024年末ごろですが、補助金の公募は早ければ2月から開始されます。補助金の多くは、予算に達した段階で公募が締め切られますので、情報は事前にチェックしておくことが大切です。
現段階で来年度の大きな方向性を把握しておけば、慌てることも少なくなります。ぜひ事前に確認しておきましょう。