会計処理のポイント!補助金や助成金の正しい勘定科目を学ぶ

会計処理で補助金、助成金、協賛金の処理に頭を悩ませる方もいらっしゃるかと思います。

これらの資金は企業活動に大きな助けとなりますが、その会計処理を間違えると税務上の問題を招くこともあります。

今回は、「会計処理のポイント!正しい処理で上手な資金管理を」をテーマに、これらの資金を正しく仕訳するためのポイントを解説します。

この記事を読んで「補助金」「助成金」「協賛金」について正しく理解いただければ幸いです。

1. 補助金・助成金・協賛金について

補助金や助成金、協賛金は、企業活動を支える大きな柱の一つのため、それぞれの性質をしっかりと理解し、適切に会計処理を行なうことが必要です。

補助金は国や地方自治体が支援しています。助成金は助成を目的とした資金のことを指し、協賛金はイベントなど特定のプロジェクトへの協力金となります。

これらの資金は、適正な会計仕訳のために、理解しておくべき点が多数あります。

1.1. 補助金とは

補助金は、主に国や地方自治体から事業者へ提供される財政的な支援であり、特定の事業や活動を推進するために用いられます。融資などと異なり、返済の必要はありません。
補助金を受給するためには一定の要件を満たす必要があり、対象となる事業や目的が限られていることが多いです。

たとえば、新技術の研究開発や、新製品製造のための設備投資、省力化のためのシステム投資、省エネなどに対して授与されることが一般的です。

会計処理を行う際には、補助金の性質を理解し、適切な勘定科目に仕訳を行う必要があります。

1.2. 助成金とは

助成金は厚労省が出すもので、労働環境の改善や雇用対策を目的としています。補助金と同様、返済の必要はありません。申請するには要件に合致する必要がありますが、補助金と異なり、事業計画の審査などはなく、要件を満たすと支給されます。

会計処理上では、助成金の受給条件を満たしているかどうかを慎重に判断し、条件を満たした時点で収入として認識することが一般的になります。また、助成金が事業の収益に直接関わるものであれば収益と見なし、関わらない場合は一種の寄付として費用相殺に使うことがあります。

1.3. 協賛金とは

協賛金は、企業がイベントやプロジェクトなどに対して支援を行うための資金です。

協賛は一般に、そのイベントが開催されることによって、協賛する企業自身にも広告効果や事業の宣伝につながることが期待されています。すなわち、企業のマーケティング戦略の一環として行われることが多いです。
会計処理においては、協賛金は広告宣伝費として扱われることが一般であり、経費として計上される場合がほとんどです。

2. 補助金・助成金・協賛金の会計処理の仕方

経営において補助金、助成金、協賛金は大きな財政支援となるため、その会計処理には正確さが求められます。適切な勘定科目の選択とタイミングが不可欠であり、これらの取り扱いを理解することは会計処理の基礎知識としても重要です。会計処理を行う際には、それぞれの資金の性質および受け取った時期と条件を正確に把握し、適切な会計処理を施す必要があります。今回は、これら三つの資金に対する適切な会計処理方法をご紹介していきます。

2.1. 補助金の会計処理

国や地方自治体から支給される補助金は、公募時に申請した具体的な事業に使用されることを目的としています。補助金の会計処理を行う際には、その補助金がどのような条件で支給されるかを理解し、これに応じた勘定科目を使用します。例えば、特定の設備投資に対して補助金が出る場合、その補助金はその設備の取得コストを直接減額する形で処理することが一般的です。ただし、補助金には受け取り時の条件や期間に応じて処理方法が異なるため、会社ごとの会計ポリシーに準じた判断が必要になります。また、補助金が条件を満たさなければ返還しなければならない場合には、受け取った際には一時的な負債として計上し、条件を満たした場合に収益として計上することになります。

2.2. 助成金の会計処理

助成金は雇用の創出など、特定の目的がありながら補助金ほど厳しい使途制限がない場合に支給されることが多いです。助成金の会計処理では、基本的に雑収入として扱われますが、その助成金の受給時期に応じて、収益として計上するか、一時的な負債として計上するかを判断することが必要です。
助成金が目的達成に応じて確定する場合、その金額や受け取り条件に応じて将来の収益に関連づけて計上することがありますが、すぐに使用することが前提の助成金は、受け取った時点で収益とすることが一般的です。

また、助成金の会計処理は受け取り時の条件や扱いが複雑であるため、詳細な会計ルールに従うことが大切です。

2.3. 協賛金の会計処理

企業間の協調や協働によるプロジェクトにおける協賛金は、その性質上、補助金や助成金とは異なる会計処理が求められます。協賛金は一種の寄付金として捉えられることもありますが、基本的に経費として計上されます。また、計上区分としては営業外収益になります。雑収入は、法人税および所得税において通常通りに益金となり、収入として税金計算を行います。協賛企業との間で具体的な契約が結ばれている場合はそれに基づく処理がなされます。例えば、広告宣伝費としての側面を持つ協賛金の場合、収益ではなく費用処理が適切であることが多いです。また、プロジェクトの期間や利益に応じて時間経過に沿って収益として計上する場合や、先に協賛金が支払われる場合もあります。協賛金の会計処理は、協賛内容とその目的を明確にし、関連する会計基準に沿って適切に処理することが大切です。

3. ケース別!仕訳ルール

会計業務を行ううえで、補助金や助成金、協賛金などの処理は注意が必要な部分です。
それぞれの資金には独自の会計ルールが存在し、適切に処理を行うことが求められます。

実際の業務ではさまざまなケースに遭遇することでしょう。ここでは、それぞれのケースにおける仕訳ルールとその認識を詳しく見ていきます。

特に、広告宣伝費、交際費、寄付金といった一般的な勘定科目に分類できるケースから、決算期をまたぐケースまでしっかりと理解していくことが重要です。

3.1. ケース1 広告宣伝費
広告宣伝費は会計処理上、一般的な経費の一つです。

製品やサービスの宣伝等、目的が明確であり、多くの場合、販売促進と直結するため、経費として処理されることが一般的です。しかし、補助金を利用した広告宣伝活動においては、補助金の受領が宣伝活動の前か後かによって、会計処理の仕方に違いが出てきます。

すなわち、補助金を受け取った後に支出が発生した場合は、通常の広告宣伝費として処理され、受領前の支出であれば、予定費用として計上する必要があるのです。このように、タイミングに注意を払いながら適切な仕分けを行うことが求められます。

3.2. ケース2 交際費

交際費はビジネス上の接待や会食などに関連する費用を指し、通常は必要かつ適切な範囲内で発生した費用として経費処理されます。しかし、協賛金を交際費として処理する場合、一定の金額しか損金にはならない点が注意が必要です。

3.3. ケース3 寄付金
寄付金は企業や個人が特定の団体や目的のために提供する金銭であり、会計上は損金として処理されることが多いです。

3.4. ケース4 年度をまたぐ処理
補助金や助成金は、申請をしてから受け取るまでに時間がかかる場合が多いです。そのため、決算期をまたいでの処理になる場合があります。それぞれのタイミングごとの処理をご紹介します。

1. 受け取り時の処理: 補助金や助成金の受給が確定した場合、受給手続きを行います。これにより、補助金又は助成金が組織の銀行口座に入金され、受け取りの証拠となる領収書や振込明細が得られます。

2. 予算への反映: 受け取った補助金や助成金は、予算に反映させる必要があります。予算の該当する項目に受け取った金額を追加し、予算の使途として確保します。

3. 会計帳簿への記録: 受け取った補助金や助成金は、会計帳簿に記録されます。通常は、資産勘定科目である「現金」や「預金」の増加として記録されます。

4. 年度末の処理: 年度をまたぐ場合、年度末には未使用の補助金や助成金の処理が必要です。これには、未使用分を繰越し予算として次の年度に持ち越す「繰越予算」という処理が一般的です。繰越予算は、次の年度の予算に追加され、使途として確保されます。

5. 次年度の処理: 次の年度に入ると、繰越予算として持ち越された補助金や助成金を使途に従って支出することができます。支出が行われる際には、通常の支出処理と同様に会計帳簿に記録されます。

以上が、年度をまたぐ補助金や助成金の一般的な会計処理の手順です。ただし、具体的な組織や国によって異なる場合がありますので、詳細な処理方法は組織の会計方針や法律に基づいて行いましょう。

4. 税金について「消費税」「法人税」

4.1. 補助金・助成金の税金処理

補助金や助成金は、あらゆる事業体が受け取ることができる貴重な資金ですが、補助金や助成金は消費税の課税対象ではありません。しかし、法人税は課税対象です。
補助金や助成金の正しい会計処理を行うには、税務上の認識と時期の特定が不可欠です。

4.2. 協賛金の税金処理
協賛金もまた、会計処理において注意が必要な項目です。一般的に、協賛金は企業がイベントなど特定の目的のために提供する資金であり、提供される側にとっては収益として計上されます。税金処理においては、協賛金が宣伝費用として提供されるケースなど目的に応じた適切な科目への配分が求められます。企業が協賛金を受けた場合、それが事業にかかわる直接的な収益かどうか、また所得計算にどのように反映させるべきか、という点にも留意する必要があります。協賛金の税金処理を適切に行うことで、企業の税負担を適正化し、経営効率を高めることに寄与します。

5. 圧縮記帳

圧縮記帳とは、複数の取引や頻発する取引を一つの仕訳にまとめて記録する方法を指します。

この方法により、仕訳帳の記載数を減少させ、効率的な帳簿管理を実現します。特に小規模な取引が多い場合には、このテクニックが役立ちます。しかし注意点として、圧縮した記載には各取引の詳細が省略されるため、後から取引内容を確認する際には別途記録を確認する必要があります。たとえば、小口現金の支出を毎回記帳するのではなく、月末に一括して圧縮記帳することもあります。ただし、補助金のような特別な取引においては、記帳にあたり注意深く判断することが要求されます。各取引の背景や会計基準を考慮し、適切な処理を心がけなければなりません。

仕訳科目が変わる
補助金や助成金などが絡む会計処理では、条件を満たした時点で仕訳科目を変更する必要があります。例えば、補助金を受け取った際、一定の条件のもとで先に受取補助金として計上したが、条件が後に回収不能となった場合には、その補助金を収益ではなく、補助金戻しとして処理することも考えられます。このように、取引の性質が変化すると、それに伴い仕訳科目も変わることがあるのです。税法や会計基準に則りながら、常に最新のルールに即した会計処理を行うことが重要です。間違った科目で処理をしてしまうと、税務調査等で問題となることもあるため、専門家と相談の上で最適な処理を選択することが推奨されます。

. 最後に

本記事で、「補助金」「助成金」「協賛金」の会計処理について理解を深めていただけましたでしょうか。今回の内容は、会計処理のほんの一例です。たとえば補助金を使用して機器を購入したが、事業の転換により売却になった場合。複数年度の会計処理において、減価償却が発生する場合。複雑な仕分けが多い資金なので、補助金のプロフェッショナルに申請以前から、お金の動きについて情報をもらえると安心です。無料の経営相談もあるので、一度相談してみてはいかがでしょうか。

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