【令和7年度補正予算】2026年補助金はどうなる?100億企業・省力化投資が鍵となる最新動向と対策

原材料価格の高騰、止まらない円安、そして深刻な人手不足と賃上げ。
中小企業を取り巻く環境は、かつてないスピードで変化しています。しかし、この激動の時代こそ、大きな飛躍のチャンスでもあります。

政府が2025年11月28日に閣議決定した「令和7年度(2025年度)補正予算案」は、従来にも増して「成長・変革への投資」へと舵を切る内容となっています。

特に2026年に向けて注目すべきキーワードは、「100億企業の創出」と「省力化(人手不足解消)」です。

本コラムでは、補助金コンサルタントの視点から、最新の令和7年度補正予算案から読み取れる2026年の補助金動向と、経営者が押さえておくべきスケジュール及びポイントを徹底解説します。

【スケジュール解説】補正予算成立から公募開始まで

補助金獲得において最も重要なのは、「情報の早期キャッチ」と「事前準備」です。

公募開始されてから動き出すのでは、複雑な申請書類の作り込みが間に合わないケースが多々あります。補正予算が正式に成立する前の補正予算案段階から、予測を立てて動き出すことを推奨します。

一般的な補正予算成立から公募開始までのフロー

フェーズ 時期(目安) 経営者がすべきアクション
閣議決定 2025年11月28日 <情報収集・活用検討>
予算案の概要を確認し、自社の投資方針と照らし合わせる。
国会審議・成立 2025年12月中旬~2026年1月 ※令和6年度補正予算は、2024年12月17日に成立   <投資計画の確認・相談>
補助金コンサルタントや申請サポート会社への相談を開始
事務局公募・事務局決定 補正予算成立後1か月程度 <契約・準備開始>
補助金申請サポート会社、補助金コンサルティング会社、認定支援機関等との契約
資料作成準備
公募要領発表・公募開始 1月下旬〜3月頃 <申請準備>
GビズIDの取得確認
申請書類の作成・ブラッシュアップ
必要資料の整備
加点項目への対応等

補正予算成立後、1月以降は順次公募が開始されることが想定されます。閣議決定された今の情報をもとに、早めの検討を進めていきましょう。

※本記事は、2025年11月28日時点で閣議決定された補正予算案の資料を基に作成しています。今後、国会審議を経て内容が変更される可能性があります。常に最新情報をご確認ください。

経産省補正予算案における補助金全体概要と政府のメッセージ

令和7年度補正予算案の全体像を俯瞰すると、政府のメッセージが見えてきます。

それは、「賃上げを実現できる企業を支援する」という姿勢です。

これまでの補助金制度が有効に活用されているのかの見直し・検証も進められる中で、以下のような特徴を持つ企業をへの支援が手厚くなっています。

1.大胆な省力化投資を行う企業(ロボット、AI、IoT導入)
2.新分野へ挑戦し、事業構造を転換する企業
3.持続的な賃上げに取り組む企業
4.会社の飛躍的な成長(売上高100億円等)を志向し、その実現に向けた投資を行う企業

経済産業省の中小企業・小規模事業者等関連予算は総額8,364億円。
既存基金の活用を含め1兆円を上回る規模となっています。昨年度と比較しても大幅な増加となっています。

補正予算案の主な内訳と支援内容

主な内訳と支援内容は以下の通りです。

・中小企業成長加速化補助金【生産性革命推進事業3,400億円の内数】

・大規模成長投資補助金【4,121億円】

・生産性革命推進事業【3,400億円】 :成長加速化補助金、デジタル化・AI導入補助金、小規模事業者持続化補助金、事業承継・M&A補助金

・省力化投資支援【既存基金活用 1,800億円規模】

・ものづくり補助金や新事業進出補助金【既存基金の活用(1,200億円規模)】

補助金コンサルタントが注目する「3つの継続・拡充ポイント」

今回の令和7年度補正予算案で、特に経営者が押さえておくべきポイントは以下の3点です。

「中小企業成長加速化補助金」の継続・拡充

「中小企業成長加速化補助金」が継続見込みです。
特に売上高100億円を目指す成長意欲の高い企業にとって、事業拡大と投資を加速させる絶好の機会です。
さらに、100億宣言企業向けに、「大規模成長投資補助金」の予算が確保される見込みです。

「大規模成長投資補助金」も継続

売上高100億円を超えるような中堅中小企業向けに、「大規模成長投資補助金」の継続が見込まれています。
グローバル市場も見据えた工場等の新増設、最新技術導入など、戦略的な大規模投資に活用できるチャンスです。

テーマ別補助金の継続(省力化・新事業・省エネ)

「省力化」「新事業」「省エネ」など、各テーマを後押しする補助金も継続が見込まれています。
人手不足解消のためのDX・自動化投資や、新たな市場を開拓する新分野への進出、省エネ設備への更新など、経営課題に合わせた着実な投資にご活用ください。

経済産業省補助金関係 令和7年度補正予算案の注目点

ここでは、多くの中小企業・中堅企業にとって活用可能性が高い、2026年注目の補助金ラインナップを解説します。

大規模成長投資補助金(最大50億円、補助率1/3以下)

「中堅・中小企業が、賃上げに向けた省⼒化等による労働⽣産性の抜本 的な向上と事業規模の拡⼤を図るための⼤規模な投資に対する支援を継続」

大規模成長投資補助金は、地域経済を牽引する中堅・中小企業を対象とした、大型の投資支援です。

2025年の公募では申請者数の減少などもありましたが、2026年は継続に加え、以下の変更点が予測されています。

・新規公募分予算: 2,000億円(うち、100億宣言企業向けに1,000億円を活用)
投資下限額の変更: 従来の10億円から20億円へ引き上げ(※100億宣言企業は15億円)

大規模成長投資補助金の中に実質的な100億宣言企業枠を作る形と読み取れます。
大規模成長投資補助金の申請数減少、及び、成長加速化補助金の各企業の投資額が当初想定よりも高かったことを鑑みて、実際の投資状態を加味して増設したと考えられます。

(出典:経済産業省関係令和7年度補正予算案の事業概要(PR資料)

成長加速化補助金(最大5億円、補助率1/2)

中小企業庁の資料に「中小企業成長加速化補助金の拡充」が明記されています。 令和6年度補正予算では1,000億円でしたが、今回は大規模成長投資補助金の新設枠なども含め、実質的な予算増額が期待されます。


中小企業成長加速化補助金の拡充【3,400億円の内数】
売上高100億円を超える中小企業(100億企業)創出に向けて、飛躍的 な成長を志向する企業に対する財政支援を実施

対象となる企業のイメージ

2025年に引き続き、「100億企業創出」は政府が注力しており、注目度の高い補助金です。

  • 現在の売上高が10億円以上~100億円未満
  • 1億円以上の大規模な投資を計画している

この2点に当てはまる企業は、成長加速化補助金の活用を視野に、補助金コンサルティング会社に相談を進めることを推奨します。

当社でも成長加速化補助金の活用コンサルティングを提供しており、第一回公募では高い採択率を記録しています。現在も成長加速化補助金2次公募に向けて、多くの企業様からご相談をいただいています。

中小企業生産性革命推進事業【3,400億円】

成長加速化補助金を含め、以下の注目の補助金が記載されており、継続が見込まれます。

・成長加速化補助金:上述の通り継続
・デジタル化・AI導入補助金:IT導入補助金が名称を変えて継続予定。細部の変更が生じる可能性あり。
・小規模事業者持続化補助金:継続予定
・事業承継・M&A補助金:継続予定

ものづくり補助金や省力化投資補助金、新事業進出補助金については、経済産業省関係令和7年度補正予算案には記載がありません。
ですが、中小企業庁の令和7年度補正予算案(中小企業・小規模事業者等関連予算)の資料に、明記があります。ので2026年も実施はほぼ確実でしょう。

省力化投資補助金 一般型(最大1億円、補助率2/3~1/3)

カタログ型、一般型として、2025年は継続的に公募が実施されています。上記画像内で、継続が明記されていました。


省力化投資支援【既存基金の活用(1,800億円規模)】
従業員規模ごとの補助上限額の見直しなど、業種別の「省力化投資促進プラン」を踏まえた省力化投資の推進

既存基金を活用して1,800億円規模が措置されます。昨年は3,000億円が措置されたため、一部は今年活用されたと考えられます。

カタログに掲載されている設備から選定するカタログ型は随時申請を受け付けています。

オーダーメイドの省力化設備を導入するための一般型は、2025年、継続的に4回公募が実施され、第5回公募もまもなく開始が予定されています。
申請件数も第3回は2775件と大幅に増えましたが、採択率は依然として60%台を維持しており、昨今の補助金の中では高い採択率で推移しています。

生産性向上・省力化のための投資を考えている企業はこちらの活用検討を進めるのがいいでしょう。

ものづくり補助金(最大4,000万円、補助率2/3~1/2)、新事業進出補助金(最大9,000万円、補助率1/2)

こちらも、中小企業庁の令和7年度補正予算案(中小企業・小規模事業者等関連予算)の資料にて以下のように明記されています。


革新的製品等開発や新事業進出支援【既存基金の活用(1,200億円規模)】
中小企業等の革新的製品・サービス開発や海外を含む新市場への進出 等に係る設備投資等を支援

こちらは既存基金を活用する形で継続が想定されます。

2025年はものづくり補助金は4回、新事業進出補助金は2回公募が実施されています。来年度も同等のスケジュールで公募が実施されるのではないでしょうか。

補助金コンサルタントが読み解く補正予算のポイント

数多くの採択事例を見てきた船井総研の視点から、今回の補正予算を攻略するための「裏テーマ」を読み解きます。

「賃上げ」はもはや加点ではなく必須条件

これまでは「加点項目(やれば有利)」だった賃上げ要件が、多くの補助金で「必須要件(やらないと申請できない、または返還リスクがある)」になっています。

「補助金をもらうために賃上げをする」のではなく、「賃上げをして良い人材を確保し、成長するために補助金を使う」というマインドセットの転換が必要です。

「省力化」への本気度と数値的根拠

政府は「人手不足倒産」の急増を危惧しています。

 審査では、「設備導入で労働生産性が何%上がり、何人の工数が削減できるか」「削減分をいかに高付加価値業務へ移行させるか」という数値化されたロジックが求められます。

審査の厳格化と「準備の質」

生成AI等で作成した汎用的な事業計画書は、審査員に容易に見抜かれ、不採択となる傾向が強まっています。 自社独自の強み、緻密な市場分析、実現性の高い収支計画。これらを公募開始前から練り上げておくことが、採択への近道です。

2026年補助金活用に向けて、今すぐ始めるべき事前準備

令和7年度補正予算は、成長意欲のある中小企業にとっては強力な追い風です。しかし、風を掴むためには帆を張らなければなりません。

公募要領が出てから慌てるのではなく、今のうちから以下の3点を進めてください。

GビズIDプライムアカウントの取得・確認

電子申請に必須です。発行まで数週間かかる場合があるため、未取得の場合は即座に申請してください。

自社の投資計画の洗い出し

投資計画と、投資の目的を整理する必要があります。
「いつ」「何を」「いくらで」導入し、「どうなりたいか」を整理します。

補助金コンサルティング会社や認定支援機関への事前相談

「自社がどの補助金を使えるか」「どんな投資が対象になるか」を、専門家と共にシミュレーションを開始してください。

2026年、貴社の「次なる成長」を補助金活用で実現しましょう。

【無料相談受付中】補助金活用診断はこちらから

船井総研では、貴社の業種・規模・投資計画に合わせて、最適な補助金を診断・提案するサービスを行っております。「どの補助金が使えるかわからない」「申請の準備を手伝ってほしい」という経営者様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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