成長加速化補助金と新事業進出補助金の違いは?採択率・審査ポイント・活用法を解説

中小企業の経営者様にとって、大型の設備投資や新分野への挑戦は、企業の未来を左右する重要な経営判断です。 
「成長加速化補助金」「新事業進出補助金」は、いずれもこうした中小企業の成長投資を支援する大型制度です。しかし、その目的や審査のポイントは大きく異なります。 

本記事では、「成長加速化補助金 新事業進出補助金の違い」を整理し、自社に合った補助金の選び方や効果的な活用戦略をわかりやすく解説します。 

成長加速化補助金と新事業進出補助金の概要と違い

まず、両制度の目的と概要を比較し、どのような企業に向いているのかを明確にします 。 

成長加速化補助金:既存事業の拡大・深化によるスケールアップ

この補助金は、主に既存事業の生産性向上や高付加価値化、いわば「既存事業の成長加速」を目的としています。例えば、最新鋭の機械を導入して製造ラインを一新する、DXを推進して業務プロセスを根本から見直す、といったケースが該当します。 

向いている企業

・主力事業の市場が堅調で、さらなるシェア拡大や収益性向上を目指す企業。 
・「人手不足」や「生産コスト高騰」といった喫緊の課題を、大型投資によって解決したい企業。 

新事業進出補助金:既存事業と異なる新市場・高付加価値事業への進出

一方、こちらはその名の通り、既存事業の枠を超えた「新たな分野への進出」を支援するものです。既存技術を応用した新製品開発、異業種参入、新市場開拓などが想定されます。 

向いている企業

・既存事業が成熟期を迎え、新たな収益の柱を模索している企業。 
・自社の強みを活かして、別領域でビジネスチャンスを掴みたい企業。 

採択率・難易度・審査ポイントの違い

中小企業成長加速化補助金:問われるのは「経営者の覚悟」

中小企業成長加速化補助金の採択率は16.6%と「狭き門」です。 
審査で重視されるのは、計画の緻密さだけでなく「経営者の覚悟」です。 
その覚悟は下記の2つの「数字」で示されます。 

大胆な投資

採択企業の「売上高対投資率」は中央値44.0%。売上の半分近い規模の「大胆な投資」が評価されています。 

高い賃上げ:

採択企業の「賃上げ目標(年率)」は中央値10.1%。投資によって得られた利益を従業員に還元する強い意志が求められます。 

新事業進出補助金:問われるのは「新市場性の証明」

新規事業進出補助金の採択率は37.2%と、前身の事業再構築補助金と同程度となっています。 
最大の審査ポイントは「新市場性」の証明です。 
例えば「ガソリン車部品製造→半導体製造装置部品製造」のように、市場、顧客、品質基準が全く異なることの論理的な説明が不可欠です。 
 
なぜ今、その新事業に進出する必要があるのか。市場規模や競合、ターゲット顧客のニーズをどれだけ深く分析できているかが問われます。 

2つの補助金の違いまとめ

中小企業成長加速化補助金 新事業進出補助金
目的 既存事業の拡大・深化によるスケールアップ 既存事業と異なる新市場・高付加価値事業への進出
対象者 売上高10億~100億円未満の中小企業 新事業に挑戦する中小企業・個人事業主
補助上限額 5億円 9,000万円
補助率 1/2 1/2
対象経費 建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費 機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、広告宣伝・販売促進費
採択率 16.6% (第1次公募) 37.2% (第1回公募)

両補助金を効果的に活用する戦略

「既存事業強化」か「新分野展開」か

中小企業成長加速化補助金

既存事業の生産性を抜本的に高める「自動化新工場の建設」など、既存事業の強化に活用します。 

新事業進出補助金

既存技術を活かした「新分野展開」(例:製造業から半導体分野)や、飲食業が「AIシステム開発」でIT企業へ転換するといったピボットに活用します。 

新事業進出」と「加速化」の同時活用

最も戦略的なのは両補助金を同時に活用することです。 

同時期に行う投資を、新事業は「新事業進出」、既存事業は「加速化」で同時に申請することで、同じ賃上げ目標で最大5.9億円の補助金を獲得が可能です。 

ただし、同一設備をそれぞれの補助金で同時に補助対象にできない点には注意が必要です。 

補助金活用の効果最大化を行うために、まずはプロのコンサルタントへご相談ください。 

まとめ|自社に合う補助金を見極め、早めの準備を

「成長加速化補助金」と「新事業進出補助金」は、どちらも強力な成長支援ツールです。 
 
しかし、自社の現状や目指す未来像と合致しない補助金に申請しても、採択の可能性は低く、何より貴重な経営リソースを無駄にしてしまいます。 

まずは「自社は今、何をすべきか」という経営戦略を明確にすること。 
そして、どちらの補助金がその戦略の実現に最適かを見極めること。 
 
採択される事業計画書は、その「明確なビジョン」「実現への具体策」が審査員に伝わるものです。公募開始前から、早めの準備と計画の練り込みを強くお勧めします。 

しかしながら、こうした補助金の申請準備や、採択率を高める事業計画の策定には、専門的なノウハウが不可欠です。 
補助金の活用をご検討の企業様は、ぜひ一度、船井総研の専門コンサルタントにご相談ください。 

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