成長加速化補助金とものづくり補助金の違いは?採択率・特徴を解説

成長加速化補助金ものづくり補助金は中小企業の設備投資や生産性向上を後押しする二大補助金です。どちらも魅力的ですが、「自社は成長加速化補助金とものづくり補助金、どちらを使うべきか?」と悩む経営者も多く、実際当社でもよくご相談を受けています。 

 
本記事では、両補助金の基本的な違いから、補助金コンサルタント視点での審査のポイントまで、わかりやすく比較解説します。 

成長加速化補助金とものづくり補助金の概要と違い

成長加速化補助金

目的

売上高100億円を目指す成長企業を創出していくため、大胆な投資を進めようとする中小企業等の取り組みを支援。

対象経費

新工場の建設や増築などの建物費が対象になる点が最大の特徴。その他、大型の機械装置、ソフトウェアなど。

補助上限

最大5億円(補助率1/2)。

ものづくり補助金

目的

革新的な新製品・新サービス開発や海外需要開拓を行う事業を支援し、中小企業者等の生産性向上を促進。

対象経費

機械装置、システム構築費を含む設備投資が必須。建物費は対象外。

補助上限

750万円~3,000万円。(補助率1/2~2/3)(※枠組みや従業員数により上限額が変化)

採択率・難易度・審査ポイントの違い

各補助金の傾向と最新の採択率

成長加速化補助金は、直近決算の売上高が10億円以上100億円未満の企業を対象としており、採択企業の業種も様々です。 
投資対象も建物費や機械設備など幅広い補助金であり、最新である第1回の採択率は約16%(1,270社中207社)でした。(25年9月発表) 

ものづくり補助金は、第17回以降採択率が以前より低い傾向が続いており、おおむね30%前後で推移しています。 
単なる設備導入ではなく、革新性を伴った開発を含む投資であることへの審査が厳格化していると考えられます。2025年10月時点、公表されている最新の採択結果である第20回の採択率は約33%(2,453社中825社)でした。(25年10月発表) 

成長加速化補助金で重視される審査ポイント

戦略と計画の明確性・一貫性

重視されること 
売上高100億円に向けた中長期的なビジョンや計画が明確であること。 

ポイント 
そのビジョン達成シナリオに、具体的な事業戦略が効果的に組み込まれているか。 

事業計画の客観的根拠と整合性

重視されること 
市場の成長性競合優位性が明確であること。 
・具体的な経営戦略が立案されていること。 

ポイント 
各要素が客観的なデータを根拠としており、事業計画全体を通して一貫性のあるストーリーになっている必要があります。 

経済・地域社会への波及効果とコミットメント

重視されること 
事業による社会的なインパクト、特に以下の項目への強いコミットメントが求められます。 
雇用創出 
・地域のサプライチェーンへの好影響 
・大幅な賃上げ 

注意点 
特に賃上げ率に関しては、目標が設定され、未達の場合には補助金の返還が求められます。そのため、実現性の高い計画と強い意志が必要です。 

ものづくり補助金で重視される審査ポイント

事業戦略への投資の組み込み

重視されること 
外部環境分析(市場・顧客の動向、ニーズ) 
内部環境分析(自社の強み・弱み) 
 

ポイント 
徹底した外部/内部分析結果に基づき、投資の内容(設備・システム導入)が、策定した事業戦略の中に必然性をもって組み込まれていることが重要です。 

競合他社との差別化と優位性

重視されること 
「競争力」。 補助金で導入する設備やシステムが、単なる効率化に留まらないか。 
 
ポイント 
導入によって生み出される製品やサービスが、独自の技術などを活かすことにより競合他社のものに対して明確に差別化され、市場において優位性を確保できることを論理的に示す必要があります。 

精緻な数値計画

重視されること 
以下の基本要件を満たすことが必須となります。 

・付加価値額年率+3% 
・給与支給総額年率+2.0% 

ポイント 
上記は申請のための基本要件です実現可能性の高い精緻な数値計画が求められます。 

両補助金を効果的に活用する戦略

当社では複数の補助金採択を並行して目指す、補助金活用もサポートしています。 

 
以下は、ものづくり補助金と成長加速化補助金を併用しつつ財務戦略構築を計画する場合の一例です。 
 
まずはものづくり補助金で設備投資を行い、特定のラインやサービスの革新性を高め、収益基盤を強化。 

そして、事業が軌道に乗り、売上10億円が見えてきた段階で、成長加速化補助金を活用し、新工場建設などを計画し、次の飛躍のための大規模投資を行う。 

このように、事業内容と経費が明確に分かれていれば2つの補助金の併用も理論上可能です。 
しかし、管理が煩雑になるため、まずはどちらか一つの補助金に集中していくことを推奨します。 

特に成長加速化補助金は、企業の次のステージへ飛躍させるための全社的な戦略的投資という位置づけで取り組むことをお勧めいたします。 

まとめ|自社の成長ストーリーに合わせた補助金活用を!

成長加速化補助金とものづくり補助金は、似ているようで全く異なる補助金です。 
 
自社の成長ストーリーに最もフィットする補助金を選び抜くことが採択への最短距離となります。 

自社の現在の売上規模、投資計画、そして将来のビジョンに合わせて、最適な補助金を選択し、成長を加速させましょう! 

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