【サービス業向け】成長加速化補助金の採択事例と活用法

成長加速化補助金は、サービス業が設備投資や業務効率化を通じて成長を加速させるための有力な補助金です。 
 
売上高100億円を目指し、システム導入や業務プロセス改善、顧客サービス向上などを計画する企業にとって活用価値が高いです。 

「サービス業の成長を加速させたいが、大規模な投資には踏み切れない」 

 「DXや高付加価値化が重要とは分かっているが、何から手をつければよいか分からない」 

こうした課題を抱えるサービス業の経営者様にとって、「成長加速化補助金」は、事業を次のステージへ進めるためのエンジンとなります。 

本コラムでは、中小企業成長加速化補助金において採択されたサービス業の事例を徹底分析し、採択実績から見えてきた「サービス業における成長加速化補助金の採択のポイント」を解説します。 

成長加速化補助金・採択企業の業種別内訳

まずは成長加速化補助金の1次公募で採択された業種を見てみましょう。 

件数では「製造業」が4割以上を占めていますが、ここで注目すべきは「サービス業」関連分野の多さです。 

「宿泊業、飲食サービス業」「生活関連サービス業、娯楽業」「学術研究、専門・技術サービス業」「サービス業(他に分類されないもの)」といった、広義のサービス業分野を合計すると37件(17.9%)に達します。 

業種分類 採択企業数 割合(%)
製造業 90 43.50%
卸売業、小売業 40 19.30%
建設業 19 9.20%
運輸業、郵便業 9 4.30%
宿泊業、飲食サービス業 10 4.80%
サービス業(他に分類されないもの) 14 6.80%
学術研究、専門・技術サービス業 6 2.90%
情報通信業 7 3.40%
不動産業、物品賃貸業 4 1.90%
生活関連サービス業、娯楽業 7 3.40%
その他 1 0.50%
合計 207 100.00%

サービス業が補助金の活用において非常に重要な分野であることを示しています。 

サービス業での採択事例

提供された採択者一覧と100億宣言企業一覧をより細かく分析してみると、「サービス業」に特に宿泊業・飲食サービス業(M)生活関連サービス業・娯楽業(N)学術研究・専門・技術サービス業(L)、そして他に分類されないサービス業(R)といった分野と、多岐にわたります。 

宿泊業・飲食サービス業(M)

「宿泊業・飲食サービス業」は、地域資源の活用やインバウンド需要への対応、および事業モデルの効率化を目的としたプロジェクトで多く採択されています。 

事業者名 主な事業実施場所 補助事業名 業種分類(大分類)
A社 千葉 空き家からの極上体験創出、一客一亭で挑む宿泊事業の成長加速 宿泊業・飲食サービス業
B社 東京 暮らすように泊まる、インバウンド向けアパートメントホテル事業 宿泊業・飲食サービス業
C社 神奈川 日本文化を体現する次世代旅館の構築 宿泊業・飲食サービス業
D社 京都 新しい宿泊体験を提供する没入型リトリートの新事業開発 宿泊業・飲食サービス業
E社 滋賀 2070年世界に愛される宿泊型総合リゾートへの成長加速化プロジェクト 宿泊業・飲食サービス業
F社 東京 セントラルキッチンを柱とした飲食店の成長モデルの確立 宿泊業・飲食サービス業
G社 大阪 食の未来を創造する戦略的生産拠点「豊中新工場」建設と高付加価値事業展開による成長加速化計画 宿泊業・飲食サービス業 (飲食店)

採択された宿泊業は、単なる施設改修ではなく、「次世代旅館の構築」「没入型リトリートの新事業開発」「宿泊一体のプライベートヴィラ」 といった、高付加価値で体験型のコンテンツに焦点を当てた事業が多いことが特徴です。 

また、飲食関連では、セントラルキッチンや生産拠点を活用し、生産効率や品質を向上させることで多店舗展開や海外進出を目指す事例が見られます。 

生活関連サービス業・娯楽業(N)

美や健康、レジャーといった生活に密着したサービス分野でも、専門性の強化やDX推進が図られています。 

事業者名 主な事業実施場所 補助事業名 業種分類(大分類)
H社 埼玉/神奈川 全国展開を加速する即戦力育成型サロンモデルの構築とLTV国内No.1戦略 生活関連サービス業・娯楽業
I社 千葉 千葉県初!大型EV・自動運転車両の高度整備人材拠点事業 生活関連サービス業・娯楽業 (自動車整備業)
J社 広島/東京 『未来に貢献できる企業』としてのフィットネスにサウナを加えたトータルボディケア事業 生活関連サービス業・娯楽業
K社 沖縄 沖縄離島最大手のマリンアクティビティ業者による没入型ウェルネスリゾート「LocoHas西表島」の開業 生活関連サービス業・娯楽業

この分野の採択事例は、美容室の「即戦力育成型サロンモデルの構築」や、EV・自動運転といった次世代車両に対応する整備人材の育成拠点 など、高度な人材育成や専門技術の獲得に投資している傾向が見られます。 

学術研究・専門・技術サービス業(L)

高度な専門知識や技術を提供する企業では、その基盤強化やデジタル技術を活用した新分野への進出が見られます。 

事業者名 主な事業実施場所 補助事業名 業種分類(大分類)
L社 北海道 木材と鉄骨のハイブリッド!国内売上の拡大と海外進出を見据えた設計拠点の強化事業 学術研究、専門・技術サービス業
M社 東京 キャリアデータプラットフォーム事業 学術研究、専門・技術サービス業
N社 長野/埼玉 埼玉新倉庫を核とした『知の好循環プラットフォーム』創出事業 学術研究、専門・技術サービス業
O社 大阪 先進観測機器の導入による成長市場での事業拡大加速 学術研究、専門・技術サービス業

専門サービス分野では、デジタルプラットフォームの構築(キャリアデータ、知の好循環) や、気象観測機器の導入 のように、データや高度な計測技術を核とした事業拡大を目指す事例が目立ちます。 

その他(R: 他に分類されないサービス業 / K: 不動産業・物品賃貸業)

上記分類に明確に含まれない、事業支援や環境対策など、幅広いサービスも採択されています。 

事業者名 主な事業実施場所 補助事業名 業種分類(大分類)
P社 岩手/東京 AIシールド構想 AI技術を活用したデジタルリスクマネジメント事業への取り組み サービス業(他に分類されないもの)
Q社 東京 時間を創る暮らしのマルチプラットフォーム構築事業 サービス業(他に分類されないもの)
R社 東京 地域金融機関を通じた中小企業のDX/AI利活用支援事業 サービス業(他に分類されないもの)

(参照:100億企業成長ポータル宣言企業一覧) 

サービス業における補助事業の特徴

成長加速化補助金で採択されたサービス業の事例を見てみると、単なる既存事業の延長線上にある設備投資ではなく、デジタル技術(AI、DX、プラットフォーム)を駆使して、事業モデルそのものを変革させるという共通点が見えてきます。 

1.高付加価値化・体験型へのシフト (宿泊、レジャーなど) 
2.生産・運営の抜本的な効率化 (飲食のセントラルキッチンなど) 
3.専門性の強化と広域展開 (専門技術サービス、次世代自動車整備など) 

成長加速化補助金の事業計画では、サービス業が従来の「労働集約型」から脱却し、「知識集約型」「技術集約型」へと進化し、成長を加速させている姿を示す必要があります。 

例えば製造業の場合、売上を大幅に伸ばすには、工場の増設や大型の設備投資が不可欠であり、その「キャパシティ(生産能力)」が売上の上限を規定しがちです。 

一方、サービス業は、物理的な制約が製造業に比べて比較的小さい分野です。  
優れた「アイデア」や「ビジネスモデル」を構築できれば、既存の枠組みやリソースの制約を超え、非連続的な成長(売上の大幅なジャンプアップ)を実現できるケースが少なくありません。 

「成長加速化補助金」は、サービス業が持つそういった革新的なアイデアを、一気に市場へ展開し、事業化するための強力なエンジンとなります。 

補助金専門家や補助金コンサル活用のメリット

成長加速化補助金は審査難易度が極めて高く、特に「成果が見えにくい」サービス業においては、投資対効果の証明に高度なテクニックを要します。  

①サービス業特有の「顧客体験の向上」や「業務効率化」といった定性的な効果を、審査員が納得する「定量的な数値(KPI)」へ翻訳し、事業の有効性を証明します。 

②非常に高い目標数値に対し、単なる願望ではなく、市場分析に基づいた「実現可能なロードマップ」を策定し、事業計画書に強い説得力を持たせます。 

③ 複雑かつ膨大な申請実務をプロに任せることで、経営者は資料作成の作業から解放され、本質的な「事業構想」と「経営判断」に集中できます。 

単なる申請代行ではなく、事業を成功へ導く「戦略パートナー」として専門家を活用することが、採択への近道です。 

まとめ|サービス業が成長加速化補助金を最大活用するには

「自社もこのような変革に挑戦したい」  
「我々の業界でも、このような事業は採択されるだろうか」 

こうした意欲をお持ちの経営者様も多いかと思います。 

しかし、成長加速化補助金では、 
「なぜ今、その投資が必要なのか」 
「それがどのように成長に直結するのか」を、審査員に明確に伝える事業計画書の構想力が不可欠です。 

私たち船井総研は、採択事例に見られるような「高付加価値化」「DX推進」を、貴社の事業にどう落とし込むかその構想段階から申請サポート、そして採択後の実行までをワンストップでご支援します。 

「成長加速化補助金」にご興味をお持ちの経営者様は、ぜひ一度、船井総研の無料相談をご活用ください。 

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