成長加速化補助金のコンソーシアム申請を完全ガイド!

「成長加速化補助金」では、複数企業や団体が連携して申請する“コンソーシアム型”の取り組みも認められています。
単独では実現が難しい大型プロジェクトや、新市場開拓を狙う企業にとって、コンソーシアム申請は有効な選択肢の一つです。
ただし、複数社での申請には体制構築や役割分担、契約関係など、単独申請とは異なる注意点もあります。
本記事では、「成長加速化補助金 コンソーシアム」の仕組みから実際の進め方まで、申請準備のポイントをわかりやすく解説します。

成長加速化補助金におけるコンソーシアムとは?

コンソーシアム(共同申請)とは、事業者単独での申請を原則とする本補助金において、「一層の相乗効果を発揮できる場合など」に認められる複数事業者での申請形態です。 

【参加企業の条件】

コンソーシアムに参加する企業には、以下の条件が求められます。 

1. 共同申請者全てが中小企業者の定義、売上高10億円以上100億円未満などの要件を満たす必要があります。 

2.「100億宣言」を実施している企業間でコンソーシアムを形成することが可能です。原則として、共同申請者各者で「100億宣言」を実施する必要があります。 

※100億宣言を実施した企業グループとして共同申請する場合 

「100億宣言」は、資本関係にある企業グループとして実施いただくことも可能です。その場合、補助金も当該企業グループ全体またはグループの一部として、コンソーシアムを形成して申請することも可能です。 

3. コンソーシアムに参加する全ての法人の売上高成長率や賃上げ率が審査の対象になります。 

4. コンソーシアムには、投資額5千万円以上(専門家経費・外注費を除く補助対象経費分)の中小企業者を少なくとも1者以上含むことが必要です。 

5. 異なる企業間でコンソーシアムを形成する場合、売上高の合計額が100億円を超えていても問題ありません。一方企業グループ全体として100億宣言を実施し、コンソーシアムを形成する場合、企業グループ全体として売上高が既に100億円を超えている場合は補助対象外となります。 

コンソーシアムを組むメリット・デメリット

【メリット】

1. 相乗効果の発揮共同申請(コンソーシアム)は、一層の相乗効果を発揮できる場合に認められます。例えば、販路やブランドに強みがある企業と、特殊技術に強みを持つ企業が連携するケースがそれに当たります。 

2. グループ内投資の柔軟性企業グループとして100億宣言を実施している場合、グループ傘下の売上高10億円未満の会社をコンソーシアムに含めることができ、当該会社への投資を補助することも可能です。 

3. 新設法人の参加この事業のために特定目的会社(SPC)を設置するなど、売上がまだ立っていない法人でも、企業グループとして100億宣言を実施し共同申請を行うことで、補助を受けることが可能となります。 

【デメリット】

1. 要件・評価対象の拡大コンソーシアムを組むと、審査における評価や要件の対象が、コンソーシアムに参加する全ての法人に及びます。 

2. 賃上げ要件の適用範囲賃上げの目標水準は、コンソーシアム構成企業の全従業員に対して適用されます。 

3. 申請件数の制限同一事業者は、今回の公募において単独申請または共同申請のいずれか1件のみ申請が可能です(リース会社は除く)。グループ会社等で共同申請者として事業に参画することも認められません。 

コンソーシアムで成長加速化補助金に申請する際のポイント

【売上高に関する留意点】

コンソーシアムの形態によって、売上高の合計に対する考え方が異なります。 

形態 定義 売上高の合計
異なる企業間で連携する場合 100億宣言を実施する異なる企業間でコンソーシアムを形成 合計額が100億円を超えていても問題ありません。
企業グループ全体で連携する場合 100億宣言を実施いただく企業グループの全体として形成 企業グループ全体として売上高が既に100億円を超えている場合は補助対象外となります。
企業グループの一部で連携する場合 特段の事情がある場合に、100億宣言を実施する企業グループの一部で形成 企業グループに属するもののコンソーシアムに属していない企業の売上高成長率等の数値は、審査の対象とはなりません。

【賃上げ要件と定量指標の評価範囲】

コンソーシアムを組む場合、賃上げ要件や成長指標の評価対象は拡大します。 

1. 賃上げ要件の適用範囲賃上げの目標水準や要件(基準率以上の年平均上昇率など)は、コンソーシアムに参加する全ての法人(全従業員、非常勤含む)の「給与支給総額」または「従業員及び役員1人当たり給与支給総額」に対して適用されます。 

2. 賃上げ未達時の返還責任補助事業終了後3年間の年平均上昇率が目標に達しなかった場合、未達成率に応じて補助金の返還を求められます。これはコンソーシアム全体としての責任となります。 

3. 成長指標の評価補助金審査においては、コンソーシアム全体としての売上高成長率、付加価値増加率、売上高投資比率、賃上げ等の合計値が評価されます。 

【事業計画と審査における成功のポイント】

コンソーシアム申請の場合、「連携の意義・相乗効果」が特に審査で重視されます。 

1. 連携の意義と相乗効果の明確化コンソーシアム形式の場合、連携の意義・目的が明確であり、相乗効果が見込まれるかが特に評価されます。 

2. グループの一部で申請する場合の資料100億宣言のグループ全体と、補助金のコンソーシアムの資本関係等を示した資料を提出し、連携・構成の意義、目的、相乗効果などについて審査を受けます。 

成功するコンソーシアム事例

コンソーシアム(共同申請)は、「一層の相乗効果を発揮できる場合」に認められる申請形態であり、その相乗効果が事業計画で明確に示されていることが成功の鍵となります。 

申請要領で例示されている、望ましいコンソーシアムの形態は以下の通りです。 

【パターン 1:異なる強みを持つ企業間の連携】

販路やブランドに強みがある企業(株式会社A)が、特殊技術に強みを持つ企業(株式会社B)と連携するケース。 

企業 強み 連携による相乗効果の期待
株式会社A 販路やブランド B社が持つ特殊技術を活かした新製品を、A社の強力なブランドと販売チャネルを通じて市場に投入する、といった連携が想定されます。
株式会社B 特殊技術 B社の技術力を、A社の市場へのアクセスを通じて一気に事業化・拡大させることで、単独申請以上の成長が見込めます。

【パターン 2:企業グループ内の機能最適化を目的とした連携】

ホールディングス会社(株式会社H)の下、設備投資機能、生産企画機能、生産機能などが別会社に分散しているグループ。 

企業 機能 連携による相乗効果の期待
ホールディング会社(H社) 本社機能(経理・人事等) グループ全体の戦略や管理機能を担うH社と、実際の投資・生産機能を担う子会社(A社、B社、C社など)が連携することで、グループ全体としての成長戦略に基づいた大規模投資が可能となります。
子会社(A,B,C社など) 設備投資機能、生産企画機能、生産機能 グループの機能を再編・統合・強化するための投資を、最適な事業会社が実施し、グループ全体の成長に繋げます。特に売上がまだない新設法人や、売上高10億円未満の会社への投資も補助対象に含めることが可能です。

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