成長加速化補助金の賃上げ要件を徹底解説!

政府が推し進める成長加速化補助金は、企業の持続的な成長を支援するとともに、日本経済全体の底上げを目指す上で重要な施策です。 特に、この補助金が重視する「賃上げ」は、単なるコスト増ではありません。
企業の競争力強化と従業員のエンゲージメント向上に繋がる戦略的投資と捉えるべきです。さらに、この補助金のゴールは「賃上げ」と言っても過言ではありません。 
 
本コラムでは、「成長加速化補助金の賃上げ要件」に焦点を当て、
 ・具体的な内容 
・他の補助金との違い 
・注意点 
・賃上げに臨むべきスタンス 
について解説します。 

成長加速化補助金で達成が必要な賃上げ要件

成長加速化補助金における賃上げ要件は、従業員への明確な還元を促すことを目的とした要件です。 
 
具体的な数値目標を設定することになっており、 
・従業員及び役員の給与支給総額全体の年平均成長率を〇%以上増加させる 
・従業員及び役員一人あたりの給与支給総額の年平均成長率を〇%以上増加させる 
といった形で示すことになります。 
 
この「給与支給総額」には、基本給だけでなく賞与や各種手当なども含まれます。(課税対象のものに限る
その上で、従業員及び役員全体の給与水準向上を目指す必要があります。 
 
また、単年度だけでなく、複数年にわたる継続的な賃上げが求められます。そのため、補助金申請段階での綿密な計画策定が不可欠です。具体的な要件は公募要領で詳細に定められるため、公募毎に最新の情報を常に確認することが重要です。 

成長加速化補助金の賃上げ要件と他の補助金とのちがい

他の補助金、例えば事業再構築補助金やものづくり補助金などにも賃上げ要件が盛り込まれることがありますが、成長加速化補助金は、その「賃上げへのコミットメントの度合い」において特徴があります。 
 
成長加速化補助金は、企業の成長と賃上げをより密接に結びつけ、賃上げ自体が補助事業の「成果」として強く評価されるため、賃上げのコミットメントが求められます。 

 
コミットメントであるため、未達の場合は、未達成率に応じて返還が求められるということに注意が必要です。 
 
他の補助金が、事業計画全体の成功を主眼とし、その中で賃上げが補助的な要件とされるのに対し、成長加速化補助金は、賃上げが補助金活用の主要な目的の一つとして位置づけられている点を理解しておく必要があります。これにより、より積極的かつ計画的な賃上げ施策が求められます。 

賃上げ要件の注意点

賃上げ要件をクリアするためには、いくつかの注意点があります。 
 
まず、最も重要なのは「計画性」です。場当たり的な賃上げではいけません。目標達成が困難になるだけでなく、重要なので繰り返しになりますが、目標未達の場合、未達成率に応じて補助金の返還を求められる可能性もあります。 
 
また、賃上げ対象となる「給与」の範囲や、算定方法についても、公募要領を熟読し、不明な点は事務局に確認することが不可欠です。従業員への説明責任も生じるため、賃上げの背景や目的、具体的な計画を明確に伝える準備も必要です。 

賃上げに求められるスタンス

企業にとって、賃上げはコスト増と捉えられがちですが、本来は将来への投資です。 

賃上げによって、
・従業員のモチベーション向上
・生産性向上
・優秀な人材の確保
・定着
といった好循環を生み出すことができます。 
 
成長加速化補助金における賃上げは、単なる義務ではありません。企業が持続的な成長を遂げるための”戦略的な機会”と捉えるべきです。 

経営者は、賃上げを通じて従業員への感謝と未来への期待を示し、従業員が企業の成長を自分事として捉えられるようなエンゲージメントを高めるスタンスが求められます。 
 

したがって、計画書作成やプレゼン審査にはこのスタンスで臨むことが重要となります。 

申請検討時点で確認しておくべきこと

成長加速化補助金では、以下の4点を申請前に確認しておくことが重要です。 

自社の現状把握

現在の給与水準、昇給実績、従業員構成などを正確に把握しましょう。賃上げ余地と実現可能性を評価することが重要です。 

・賃金台帳ベースで正社員、パート・アルバイトの方にいくら支給しているのか 
・就業時間換算であるため、週何時間勤務なのか 
を把握することがポイントになります。 

賃金台帳を提出してチェックを受けることになります。ですから、チェックを受けることまでを想定して、逆算した準備が必要となります。

事業計画との整合性

賃上げ計画が、補助金を活用して実施する事業計画とどのように連動し、企業の成長に貢献するのかを明確にします。

財源の確保

財務的なシミュレーションを行うことも重要です。 
つまり、自社で負担する賃上げ分の財源をどのように確保するか、です。

例えば、補助金を活用した投資を通じて、売上・利益を増大し、利益の一部を賃上げ原資とする、などです。 

専門家への相談

弊社などの認定支援機関のような、補助金申請や賃上げに詳しい専門家へ相談し、アドバイスを受け、その上で計画書作成含めた申請の準備をすることを強く推奨します。 

成長加速化補助金を活用した賃上げは、企業と従業員双方にとってWin-Winの関係を築き、日本経済の活性化に寄与する大きなチャンスです。 
 
要件を正しく理解し、戦略的な視点を持って取り組むことで、補助金を最大限に活用し、企業の持続的な成長を実現していただければ幸いです。 

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