ものづくり補助金「省力化(オーダーメイド)枠」採択結果分析

最大8,000万円の補助金をいかに活用するか

ものづくり補助金は、2024年10月現在、18次公募まで公募が終了している補助金です。
今年創設された省力化(オーダーメイド)枠では、最大8,000万円(※賃上げ特例適用時、最大1億円)と補助上限額が高額であり、労働生産性を高めたり省力化を進める際に活用いただける補助金となっています。

本コラムでは、
・ものづくり補助金の省力化(オーダーメイド)枠について
・採択結果分析
・次回公募予測
についてお伝えします。

ものづくり補助金とは

ものづくり補助金とは、国内の雇用の多くを占める中小企業・小規模事業者が、生産性向上や持続的な賃上げに向けて取り組む、革新的な製品・サービスの開発、または、生産プロセス等の省力化のための設備投資・システム構築
を支援
する補助金です。

2024年に新設された省力化(オーダーメイド)枠の他、製品・サービス高付加価値化枠(通常類型/成長分野進出類型)、グローバル枠があります。

各枠の概要や補助上限額は下記画像の通りです。

(出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業「18次公募要領概要版」)

省力化(オーダーメイド)枠について

ものづくり補助金の「省力化(オーダーメイド)枠」は、デジタル技術を活用し、業務プロセスの自動化や効率化を図るための投資を支援する制度です。

この枠は特に、各企業のニーズに合わせたデジタル技術を活用したオーダーメイド設備の導入を補助対象としており、従来の作業工程を大幅に効率化するための設備やシステム開発が補助の対象となります。

たとえば、AGVやロボットの導入、AIやIoT技術を使った製造ラインの最適化などが具体例です。これにより、労働力不足の解消や生産性向上を目指す企業にとって有力な選択肢となります。

※ デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)とは、ICTやIoT、AI、ロボット、センサー等を活用し、単一もしくは複数の生産工程を自動化するために、外部のシステムインテグレータ(SIer)との連携などを通じて、事業者の個々の業務に応じて専用で設計された機械装置やシステム(ロボットシステム等)のこと。
※デジタル技術等を活用せず、単に機械装置等を導入する事業については、本事業の対象ではありません。

「労働生産性が事業計画期間内に2倍以上になる計画を策定すること」など、要件もいくつかありますので一度専門家にお聞きください。

17次、18次の採択結果分析

ものづくり補助金の採択率

17次以降に省力化(オーダーメイド)枠の公募が開始されましたが、それ以前の1次~16次の採択率は49.8%でした。
省力化(オーダーメイド)枠のみの公募を実施した17次の採択率は29.4%
製品・サービス高付加価値化枠(通常類型/成長分野進出類型)、グローバル枠と同時に公募が行われた18次の採択率は35.8%でした。

この数値から鑑みると、ものづくり補助金の審査が大幅に厳格化したことが推察されます。

業種別動向

製造業

18次はその他の枠も含まれているため、17次公募のみで確認しますと、採択された185件の内、約8割が製造業でした。

活用イメージに掲載されているものもAIや3Dカメラを用いた多関節ロボットなどの記載があることや、やはり製造工程における省力化要素は分かりやすく、改善策を講じれることからも、「自動化」「検査」「品質管理」工程にデジタル技術を付加したカスタマイズ設備が導入される要素が目立っています。

ですが、製造業において、ハード設備ではなく、システムのみで採択された事案もありましたので、生産管理システムなどの構築にも活用いただけます。

運送業

自動搬送ロボット、自動ピッキングシステム、在庫管理システムなどの設備導入に際し、カスタマイズ×デジタル技術を搭載させたハード・システムの導入事案が採択されています。

その他の業種

印刷業、建設業、不動産業、サービス業、宿泊業、飲食業、卸売業、小売業、情報通信業においても採択事案がありました。ですから、様々な業種が活用可能な枠とも言えます。

採択された事業計画名には下記のようなものがありました。

・印刷不良の予防・検査体制の完全自動化による品質・生産性の向上
・自動分析機能導入による不動産仲介業の戦略立案省力化計画
・管理サービス事業拡大に向けたシステム投資による省力化実現
・クレジット明細作成の自動化による金融サービス事業者としての独自性の確立
・AI クローリングによる顧客別営業活動支援システムの構築
・省力化により地域密着を最大化する宿泊施設の展開
(出典:ものづくり補助金事務局HP)

採択可能性を高めるためのポイント

採択可能性を高めるには、やはりものづくり補助金の公募要領にも多数記載されているように、「革新性」があるかどうかが重要だと言えます。

ものづくり補助金は、元々「革新性」を重視しています。
自社内における革新性ではなく、地域や業種レベルで革新的な内容であることが望ましいでしょう。
自社のノウハウを活用することで、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化が図れるか、という観点で検討いただく必要があります。

その他にもいくつか確認すべき採択可能性を高めるためのポイントがございます。
そちらに関しては、ものづくり補助金が活用可能かも含めて、一度当社までお問合せいただければと思います。

次回公募予測

2024年10月時点で、公募の案内は出ていませんが、昨年同様、2024年12月下旬公募開始、2025年3月頃締め切りというスケジュールになるのではと予測します。

また、予算の消化を加味すると、補助事業期間も今年度同様、約半年前後と短期間になる可能性が高いでしょう。

申請するまでにある程度デジタル技術の要件を固めたり、SIerと交渉を進めていく必要があります。

省力化を進める予定がありましたら、早めに一度ご相談ください。
次回公募に向けた申請準備と、今時点から対応いただけることについて無料相談にてアドバイスさせていただきます。

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