事業再構築補助金の活用でこんなチャレンジングな挑戦も【後編】

SDGs視点で新素材への挑戦

事業再構築補助金は、単にあらたなビジネスアイデアの大会ではありません。世間の変化やビジネストレンドを読み取った事業転換や商品開拓がその主たる目的の1つとなっています。

既存事業がプラスチック系統に寄っていた「FES株式会社」。遊園地や商業施設、アートやイベントに登場する巨大なモニュメントを得意とする会社です。その設計は、職人たちによる1点もの製作物で、全長10mに及ぶ巨大物を制作することもあるそう。

そうした巨大な制作物で重要視されるのが「耐火性」。木材や紙などで作れば簡単ですが、大きさも相まって「単に見栄えが良い」だけでなく安全性も問われるということで難燃性のプラスチックなどで制作することが多いそうです。しかし、昨今「プラスチック」自体が、SDGsにおいて好まれない素材となってきています。


事業再構築補助金を活用し、FES株式会社が挑戦した素材は「砂」でした。プラスチックと異なり、自然由来の素材。耐火性も高く、プラスチックよりも「より本物感」を出せることもあるそうです。

こうした砂を使った立体制作を「サンドプリント」と定義。1.2m×1m×0.6mの3Dでの整形が可能とのこと。ただ、デメリットとして「砂」を使用しているため断面への塗装被膜の問題もあるとのこと。補助金活用で、基礎開発ができたためよりニーズの高い商品開発へとつなげていくそうです。

「補助金のプロはこう読み解く」
――成長戦略による解説「事業再構築補助金による新規事業における新素材の活用は、「SDGs」のような社会のトレンドに合わせた投資として非常に価値あるものではないでしょうか。

とくに、プラスチックから砂へと変更したことで二酸化炭素排出量の減少に貢献できる点などは、政府方針である「グリーン成長戦略」の課題解決にも貢献するものであると考えられますし、素材や制作工程だけでなく、地球にやさしい持続可能なビジネス事例の一つになるのではないでしょうか。また、事業再構築補助金以外にも、「グリーン成長戦略」に沿った脱炭素を後押しするような補助金が今後も登場してくるのではないかと推測しています。


FES株式会社は大学などと組んでGo-Tech(成長型中小企業等研究開発支援事業)という補助金も採択されているそうで、やはり上手くいっている企業ほど補助金を活用しているなと思いました。

どういった補助金を活用するかだけでなく、どのような戦略をもって会社を成長させていくか。そういったことも伴走しながら一緒に考えていけるのも成長戦略の強みの一つですので、補助金の活用をご検討されている経営者の皆様にはぜひ一度ご相談いただきたいと考えております。

事業危機を事業再構築補助金の活用で克服

リアル店舗の集客計測はみなさんいかに実施していますか?レジの回数、カメラによる計測、体感値による情報取得。やり方は存在しますが、できれば自動化したいところ。

iPhoneをはじめとするデータを持つ端末から発出されるデータをもとに分析を行える事業を展開する「Oxyzen株式会社」。カメラ計測と異なり、ユーザー属性や年齢、趣味趣向などの目で取れない情報取得が可能でした。ですが、昨今厳しくなったEU主導の情報セキュリティのルール作りが行われ、端末から発出する情報はより強固なものとなりました。Oxyzen株式会社も影響が少なくなく、新たな調査手法が必要となったのが開発のきっかけだそう。


機器の近くを人が通ると、その人がどういった情報を検索していたか、直前にどういった行動をとっていたかなどのデータを入手。空間という計測しやすそうで難しかった情報を端末へとストックできます。

レシートや会計情報などの取得の場合、入店したけれども購入に至らなかった層がどの程度いるかわかりません。本製品を使用すれば計測し、時間帯セールや商品開発などにも活用できます。また、商品PRや表示のPRなども高所得者層がきたらA広告。海外旅行客がきたらB広告といったように広告の切り替えも可能です。


今後AI活用により、解析したデータに基づく開発やビジネス展開など色々な可能性のあるビジネス。きっかけは海外の法整備という逆風でしたが、それをものともせずに新たなビジネスを作り上げた点が補助金活用の模範的な使い方といえるのではないでしょうか。

「補助金のプロはこう読み解く」
――成長戦略による解説「法改正やビジネスによる大きな壁に対峙したとき、補助金の活用は有効です。本件に限らず、多様な補助金が存在しますので、ピンチをチャンスと捉えて、まずは補助金を活用できるか否かを含めてご検討いただけるとよろしいかと思います。

総評

――成長戦略による総評「事業再構築補助金を活用した事例のなかでも、とくに大きく事業を変える内容やビジネスの転換のきっかけとなった事業などが紹介されていました。本補助金は次回第13回が実施されるか否か、あるいは別の形となるのかなどは現時点では見えていません。ただ、本補助金に限らず、新たな設備投資や省力化投資などに補助金を活用することは自社の成長を加速するために有効な手段となります。まずは青写真レベルでも構いませんので、経営者の皆様が実現したいことなどをお気軽に成長戦略までご相談いただければと思います。

成長戦略HP:https://ss.funaisoken.co.jp/
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