事業再構築補助金第12回公募における変更点と申請のポイント

新規事業をする際に活用しやすい補助金である、「事業再構築補助金」の第12回公募が開始されています。

第11回が昨年の10月に締め切りがあったため、そのころから申請の検討を進めていた企業は、「ようやく出た!」というお気持ちなのではないでしょうか。

申請締切は7月26日17時まで。

事業計画の作成には1か月はみておいていただきたいので、早めに、支援期間へのご相談などを通じて要件合致や申請準備を進めていただきたいと思います。

今日はこの内容についてお伝えします。
1)事業再構築補助金とは
2)11回公募からの変更点
3)審査のポイント~採択率を高めるには

事業再構築補助金とは

知っている方も多いので簡潔にお伝えします。
今まで提供したことのない製品・サービスを、新しい顧客に提供する、新規事業を始めるときに活用できる補助金です。
・製品の新規性
・市場の新規性
補助対象経費が幅広く、建物費も含まれるので、全業種にて活用しやすいものです。


今までの採択平均は約45%ですが、昨年秋ごろに有識者から見直しの指摘が入ったことも影響し、11回の採択率は26%まで下がりました。これは後でお伝えしますが、12回も今までと比較して審査が厳格化したり、審査項目が変わってきています。

11回公募からの変更点

特に重要な3つのポイントを分かりやすく解説しますので、最後までご覧ください。

申請枠の変更

まず、この図のように申請枠が変わりました。

6枠あったのが3枠になっています。

(出典:事業再構築補助金HP「事業再構築補助金の概要」)

売上減少要件の廃止

第12回公募では売上減少要件が廃止されました。
前回応募数が最も多かった物価高騰対策・回復再生応援枠などでは事業再構築補助金の申請資格を得るためには、売上が前年比で減少していることが要件でありましたが、売上減少要件は今回からなくなっています。

その代わり、コロナ回復加速化枠の通常類型では「コロナ借り換え保証等で既往債務を借り換えていること」が要件になっています。

(出典:事業再構築補助金HP「事業再構築補助金の概要」)

こちらの借り換え制度を活用して申請を検討している企業は、2か月ほどの期間がそもそも借換制度を活用するためには必要となりますので、早急に、かつ平行して、進める必要があります。

事前着手の廃止

次に、事前着手が基本的に廃止されました。以前は補助金申請段階に発注済みのものがあっても、枠により、事前着手が承認されていれば補助対象経費に含めることが可能でした。

しかし、今回から申請を行う企業は原則不可。
採択後、交付申請を受けてからでないと認められません。

ただし、経過措置として昨年の10回・11回に事前着手可能枠にて申請して不採択となっていた企業においては10回・11回の時と同様に令和4年12月2日まで遡って経費として認められます。

それ以外の企業は採択がおそらく11月。その後交付申請を行い、交付決定を受けてからの発注しか補助対象経費として認められないので、早くても、来年1月以降の発注というスケジュール感を見ていただく必要があります。

ですが、本経過措置をもって事前着手制度は完全に廃止するという文言があることから、次回は事前着手は無し。言い換えれば次回も公募があるとも読み取れそうですね!

(出典:事業再構築補助金HP「事業再構築補助金の概要」)

審査のポイント~採択率を高めるには

審査基準の変更

●   採択審査におけるAIでの重複率確認による類似案件排除
●   一定期間に特定トピックの申請が集中した場合、システム上検知し、審査を厳格化新分野進出は事業の新規性を公募毎に再検証
●   採択後の交付審査・実績審査用のシステムを刷新し、AIを導入するなどして審査を標準化・高度化

その他、審査項目はこちらです。

(出典:事業再構築補助金HP「事業再構築補助金の概要」)

すべてが重要項目ですが、特に注目は「自社に明確な優位性を確立する差別化が可能か」「補助事業として費用対効果が高いか」「新たな雇用を生み出す事業」などでしょう。

より厳格で透明性の高い審査が導入され、事業計画の実行可能性や革新性、そして自社の優位性がより重視されるようになりました。

新規事業を入念に検討し、既存事業とのシナジー効果や自社が新規事業に参入した際に生じる波及効果なども検証し、事業計画を策定していくことが求められます。


ポイントを絞ってお伝えしましたが、新規事業を検討している企業は今回の事業再構築補助金に申請を進めるチャンスです。早く動いて自社の事業計画をブラッシュアップしていただくことが重要です。

専門家や支援機関にお早めにご相談ください。

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