補助金適正化法と不正となる補助金申請について解説

今回解説するのは、補助金適正化法と補助金不正についてです。

補助金は、ビジネスを加速させるうえで成長企業にとって欠かせない施策です。
しかし、不正に補助金を活用しようとした企業も過去にあり、そのような企業への対策として、返金や罰則規定が存在します。また、不正を意図していなくても、規定を把握していなかったが故に不正利用とみなされてしまう場合もあります。

本コラムでは、
・不正申請はどのようにして発生してしまうのか
・不正な補助金申請を行わないためにやるべきこと
について解説します。

とくに不正を行う意図がなくても、この補助金適正化法に知らず知らずのうちに抵触する可能性もあるため、しっかりと頭の片隅に入れておきましょう。

補助金に関する基礎知識

何が不正になるか、の解説に入る前に、まずは補助金について改めてご紹介します。

補助金とは

国や自治体から出る「補助金」ですが、大きくビジネスを広げていくタイミングで、会社の戦略により活用するか決める人は多いです。

しかし補助金申請は、審査され、採択されたものに支払われるため、必ずもらえるものでは決してありません。
また、審査が通ったらすぐ支払われるたぐいのものでもありません。

そのため、受給されるまでは自己資金や金融機関からの資金調達を行う必要があります。つまり、ある程度企業の体力が求められるものであり、財務面において余力があるかどうかもチェックされます。

また、補助金は継続的に公募されているものや、時流に応じて公募されるものがあり、常に自社でキャッチアップして活用可否を判断していく必要があります。そうした補助金の数は数千存在しています。

助成金は何に対して支払われる?

補助金も助成金も、国や地方公共団体から支給される返済不要のお金です。
その中でも、助成金は労働環境改善などに取り組む場合に国から支給されます。

補助金と同様、申請や審査が必要ですが、「助成金」は要件を満たせば受給できる可能性が高いと言えるでしょう。

助成金の一例として、
・シニア人材の雇用であれば65歳超雇用推進助成金
・契約社員やパートタイムの人が正社員になる際に活用できるのは、キャリアアップ助成金
などが挙げられます。

助成制度自体は小規模のものから大規模のものまで幅広く存在し、様々な条件が存在します。

補助金不正をいかにして防ぐのか

コロナ禍には、持続化補助金をはじめとする、幅広い事業者にむけた補助金が存在しました。

事業存続のために助かった企業も少なからずあるはずです。
しかし、上記の補助金に関しては「迅速さ」を求めたからこそ、不正申請も少なからず発生しました。

ひとりで複数社を立ち上げ不正申請を行うなどのニュースも覚えがあるでしょう。一部は、刑事事件にまで発展しています。

そもそも補助金について、不正にお金を得てはいけない根拠というのは何にあるのでしょうか?
その根本として存在するのは補助金適正化法案です。

補助金不正をいかにして防ぐのか

補助金適正化法とは、昭和30年(1955年)に施行され、正式名称は「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」といいます。

この法律は補助金等の交付の申請に関する基本的な法律として施行されましたが、「補助金等の交付の不正な申請及び補助金等の不正な使用の防止」と記載されており、申請の仕方だけでなく不正を防止する施策についても定義されています。

この不正使用の定義が勘違いしがちなため、頭に入れて置く必要があるのです。

不正使用の範囲は意外と広い

では、補助金不正の範囲はどうなのか。その範囲は意外と広いと言えます。

実例をご紹介していきましょう。

補助金不正事例

A工場は、新たな家電製品の製造販売を企画する。
新たな家電製品は革新的な内容ではあり、補助金を活用すれば設備投資費用を半分に抑えられることがわかった。

実際に補助金を申請し、新たな家電製品を制作。しかし、当初の目論見通りには新製品は売れなかった。
そこで、設備投資した工作機械をつかい、既存製品の機能改良を実施することにした。

ここまで聞いてピンとくる人とこない人が半々かと思います。

前半の設備投資を半分に抑えることができた部分については正しい補助金の使い方のため指摘事項は存在しません。

しかし、既存製品に補助金を活用した工作機械を活用したとなると、(申請の仕方によっては)不正利用と判断されることがあります。

というのも、新たな家電を作るために補助金を活用したのであり、既存製品の機能改良に使うという点は、申請時点とは異なる機械の使い方と言えるのです。

補助金の事務局からは、当初の目的通りに使われてないと判断されます。このような場合、たとえ補助金を受け取っていたとして補助金返納を求められることがあります。

補助金不正と取られないために

補助金不正というのは、意図していなくても、実はそうなってしまっていたという場合も多く、補助金ありきの事業であった場合、返納させられれば傾いてしまう企業もまた存在しています。

意図的な不正はいうまでもありませんが、不正にとられないように、事業計画の社外に対して公明正大に対応していくことが、これから必要になってくるでしょう。

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