事業再構築補助金の第10回以降の変更点

2021年にコロナ対策として打ち出された事業再構築補助金ですが、今年も、3回程度の公募が行われることが想定されています。

第10回:6月30日締切
第11回:10月6日締切
第12回:2月頃締切(当社予想)

事業再構築補助金ですが、第9回と第10回以降の公募では、内容がかなり変わったことをご存知でしょうか?

本コラムでは、その点についてどのように変更したのかお伝えします。
また、事業再構築補助金を申請すべき企業、いままで活用できなかったが10回以降では申請可能性のある企業についてもお伝えします。

事業再構築補助金の事前着手精度の変更

2022年12月以降に、補助金を使わずに大きな設備投資をおこなった企業は活用可能性があります!

事業再構築補助金では、導入済みの設備でも遡って補助対象にすることができる制度(事前着手制度)があり、多くの企業がこの制度を利用していました。ところがこの制度が見直され、第10回からは、以下のように変わることになりました。

<いつまで遡れるか>
第 9回   :2021年12月20日まで
第10回以降:2022年12月2日まで

<遡れる申請枠>
第 9回   :すべての枠
第10回以降:「最低賃金枠」、「物価高騰対策・回復再生応援枠」、「サプライチェーン強靱化枠」のマイナーな枠のみ

昨年、補助金を使わずに大きな設備を発注・導入してしまった場合でも、申請する枠次第では補助対象にすることができます。

成長枠、産業構造転換枠が新設

第9回まで、最も申請しやすかった「通常枠」は第10回からは「成長枠」となりました。また、「成長枠」に対応する「産業構造転換枠」という枠ができます。
なぜこの2つの枠が「対応する」かというと、2つの枠では、対象となる要件が正反対だからです。

成長枠:
取り組む事業が、10年間で市場規模が10%以上『拡大』する業種・業態に属していること

産業構造転換枠:
取り組む事業が、10年間で市場規模が10%以上『縮小』する業種・業態に属していること

「10年間」というのは、過去~今後のいずれかでよく、それぞれ、どの業種が該当するのかの判断は、①事務局が予め指定する、②申請時に自分でデータを出す、③業界団体が予め示す(産業構造転換枠のみ)、などの方法によるようです。

それぞれの枠の対象となる業種がどの程度広く認められるのかは、今のところ未知数と言えます。指定業種に関しては随時更新されていますので、こまめな確認を行うのが良いでしょう。

コロナ禍によって売上が減少していないので、第9回までの申請要件を満たせなかった

事業再構築補助金を使いたくても、売上高等減少要件を満たせず諦めていた企業がたくさんあるでしょう。

第9回までは「コロナの影響で」売上または付加価値額が大きく下がっていることが前提でしたが、第10回からはその要件が撤廃されます。今まで申請できなかった企業でも、申請できる可能性が大きく広がります。

既に1回申請し、採択されている

事業再構築補助金は原則として1企業1回しか使えないのが難点でしたが、「グリーン成長枠」だけは再度申請することが可能でした。それが第10回からは、「産業構造転換枠」と「サプライチェーン強靱化枠」でも可能になります。

ただし、その2つの枠では、1回目の採択額(交付決定を受けている場合は交付決定額又は確定額)との差額分が補助上限となることに注意しましょう。

大規模賃金引き上げ計画がある

第10回公募からの「成長枠」と「グリーン成長枠」では、「補助事業終了後3~5年間で事業場内最低賃金を45円/年以上引き上げ」、かつ、「従業員数を年1.5%/年以上増員させる」と、補助上限額が3,000万円上乗せされ、追加の補助金が支給されます。

合計すると、成長枠は最大1億円、グリーン成長枠は最大1億3,000万円の補助金額となります。このような大きな金額を受けられるチャンスはなかなかありません。大規模賃金引き上げを実施する計画がある場合は、要件の確認を行うのが良いでしょう。

成長分野である業種において、工場建設など数億円規模の設備投資を計画している

第10回公募からの目玉は、何と言っても上限5億円の「サプライチェーン強靭化枠」です。この枠に申請するには以下の4つのハードルがありますが、それをクリアできれば、挑戦しない理由はありません。

・製造拠点を国内回帰する事業であること
・取引先から国内での増産要請があること
・取り組む事業が、10年間で市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していること
・賃金引き上げ等要件を満たすこと

今までも十分複雑だった事業再構築補助金ですが、第10回からはさらに複雑になっています。
通常枠がなくなり、6つすべての枠が特別枠となります。申請する枠を選ぶだけでも、専門家でないと難しいと思われます。

当社にご相談いただければ、貴社の状況に応じて「申請できる枠」や「採択される可能性の高い枠」をご提案できます。ご相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。

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